夢想螺旋

 
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08
 
 …………この作者、長編は構成が下手なんじゃなかろうか。そう思わせられた物語。
 ……ヒーローが飛行機事故にあい、そのときに妻を亡くしているんだが妻のことも自分の娘のこともすっかり忘れているのに、ヒロインのことだけは覚えているという設定は、つまるところ、それだけヒロインを愛しているのだという事として理解できる。んで、ヒーローもヒロインも【なぜヒロイン妹と結婚したのか】という謎が二人を隔てているんだが、外傷性記憶障害では失った記憶はまず戻らないのでその謎は物語終盤になっても解明されず、いきなりそこだけヒーローの記憶が戻って【これこれこういう理由だったのだ。まあ、そうだったのね!それなら許すわ!―――HE―――】なんて展開にはならず、逆に言えば理由が解明されずともヒロインはヒーローを許せるくらい彼を愛している…という証明にできるわけだ。しかもソレが一番自然な展開でもあり、ヒーローの記憶が戻らないことには私も何の不満もない。
 しかし、読者にだけはその謎を謎のままにしておくべきではなかったと思う。
 実際、事故の前のヒーローは一族のしがらみを抱え、ヒロイン父に並々ならぬ恨みを募らせ、彼の土地の一部は自分のものであるべきだと強く思っており、ソレを取り戻すことを第一に考えているようなところがあったのは周知の事実。なので、ヒロインとのはじめの亀裂がソレだったのはおかしくもなんともないが、ヒーローのヒロインに対する気持ちはソレとは関係ないことも見て取れる。そんな状況で、なぜヒーローはヒロインの妹と結婚したのか。彼がヒロイン妹を妊娠させたというが、実のところはどうだったのか。
 私の推測では…というか、私がこの物語を書くとしたら、【ヒロイン妹の子供の父親は、ヒーローではない。他の人物であるか、あるいは誰なのか妹自身も特定できない、という状況。しかし父の厳格さを考慮すれば、未婚で妊娠したうえ子供の父親と結婚できないという事態は大事であり、誰とでもいいから結婚しなければと思った妹が、自分の持っている牧場の株券を譲渡することを条件にヒーローに結婚してもらう。ソレはヒーローにとっては自分の土地を取り戻すのと同じくらいの価値があるので、拒否する理由はない。何せ自分の愛する女性は自分を振って出て行ってしまったのだから】という理由を用意するし、実際にこの物語の背景にある理由はこれとかけ離れたものではないだろうと思う。ヒロイン妹を愛していなかったし、娘とも血の繋がりがなく、どちらにも愛情は持っていなかったため、すっかり二人の記憶をなくした、ということなんだろう。
 が、結局どういうことなのか読者に知らせる件はなく、消化不良のまま物語は終わる。つまり、もっと構成を見直して、プロローグはヒーローとヒロインの出会いの場面ではなく、ヒーローがヒロイン妹と結婚することにした場面にしておくべきだったと。出会いの場面は本編の中に盛り込めばいいし、事故以前のヒーローの妄執的性格は牧童たちに語らせたりしているし、ヒロインだって知っているんだから、それらを上手く使えばプロローグで示唆しなくともいい。プロローグは、ヒーローとヒロイン二人にとって重要でありながら失ってしまった記憶で、ソレを語れる者がヒーロー以外にいないために語らせることができないので、本編中で回想の形で読者に知らせることもできない、そういう問題を自然に読者に知らせるために使うべきだったと思う。
 んで……本編は、神の視点で書かれているので一人のキャラに固定されず自由に行き来ができるのはいいんだが、それにしてもころころと視点人物が替わりすぎ、本当にこの人物の視点でこんな場面を入れる必要があるのだろうかと疑問に思うところも多く、散漫な印象が拭えない。何が書きたいのか、もっとしっかり見つめてから再構成してほしい作品。
 と言うことで、2つ星。


【あらすじ】
 リジーは故郷テキサスを離れ、ニューヨークでの成功を目指してきた。名門一族の令嬢という肩書きを捨て、新しい自分になるためだ。
 だが突然の解雇に続き、同棲中の恋人にもふられてしまい、やけになってまぎれ込んだパーティである男性と出くわした。
 コール―――父の仇敵の息子だった彼とは、十七歳のときに恋に落ちた。だが父の強固な反対にひるみ、その後彼はリジーの妹と結婚したのだ。胸が張り裂けそうだった私の気持ちも知らずに……。
 今でもコールを見るとときめく胸を抑え、大人の女性と演じて、リジーはその夜コールと一夜をともにする―――一度だけの逢瀬が、二人の運命を替えることになるとは想像もせずに。
[HQ:08/12月]
    00:26 | Trackback : 0 | Comment : 2 | Top
Comment
2008.12.10 Wed 05:59  |  沙月@管理人 #aNqLRWks
この作品、通常の約二倍の容量なので、相性がよければいいけど、そうでなければかなり読後のモヤモヤが大きいと思われます。
ある意味で確かにツッコミどころ満載ですが…キャラに突っ込むというより、作者に突っ込みたくなるのが微妙というか^^;
途中放棄覚悟で読んでみるのも一興かも?w
微妙かも^^;  URL  Edit
2008.12.09 Tue 22:23  |  ねこ #GCA3nAmE
未読ですが・・・沙月さんが書かれてる「私なら~」の部分は
ロマンス好きとしては「そうそう!」と同意したくなります。
思わず私もブログで突っ込み入れるために読みたくなっちゃいました。^^
突っ込みどころ満載?  URL  Edit







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記事へのコメントはちょっと…だけどツッコミたい!というかた、ご利用くださいw

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